力を出すときは、複数の源から力を集中すると疲れにくくなる

こんにちは。平穏堂院長の田上俊和です。

本日の「疲れにくくなる暮らし方」は

「力を出すときは、複数の源から力を集中すると疲れにくくなる」です。

大前提:複数の「方向性を持った力(=ベクトル)」は、一方向の力に合成できる。

小前提1:人が力を出すとき、自分が出せる限界値近く大きさの力になると調整しづらくなる。

     限界値に達しない半ばの力なら余裕があるため、調整を利かせやすい

小前提2:人は、からだの各所から同時に力を出すことが出来る

小前提3:調整が十分に効く場合は、一定の力を出し続けても、調整に気力を使う必要がないため、

     疲れにくい。 

     逆に、調整が効かない場合は、一定の力を出し続けるには、その調整に気力を使うため、

     疲れやすい。

 

10の力を求められているとき、からだの一か所(限界値12とする)から、10の力を出すと仮定します。

その一か所から出される力の大きさは、ほぼ限界値に近いため、小前提1から、

実際には9~11の大きさでブレたり、最悪、限界を超えた13の力を出してその部位を痛めます。

 

小前提2から、人は、からだの各所から力を出せますから、改めて、2か所(同じく限界値12とします)

から力をだし、大前提を用いて、10の力を必要とする一方向に合成するとします。

合成する場合、合成したい方向軸から、元の力の出力軸が、それぞれ45度ずつずれているならば、

一か所から出力すべき力の大きさは{10÷2×sin(45度)}となりますので、ほぼ7です。

すると、限界値である12の半分強の力ですので、余裕があり、十分に調整が効くと思われます。

小前提3より、調整が効く場合は、一定の力を出し続けても疲れにくい、となります。

 

以上より、「力を出すときは、複数の源から力を集中すると疲れにくくなる」となります。


次回(8/16)は、「足の指と足首を、意識的に動かして歩くと疲れにくくなる」です

 

○一言でいうと?

片手だけで10の力を出したときと同じ結果を、両手を使って出すのであれば、

片手で抑えて、もう一方の片手で逆方向から圧す方法をとると、

圧を逃がさずに済み、片手それぞれが出す力は5の力で済む、ということです。

 

○応用例

「仕事」の場合

・一台の車を組み立てるとき、複数ブロックに分割し、それぞれのブロックを並行して組み立て

 最後にブロックを組み合わせることで完成させるのが、負荷分散であり、力の集中であるため

 仕事が疲れにくくなる手法の一例といえます。

 

「あん摩マッサージ指圧」の場合

・ある部位を揉むとき、揉まない方の手(A)を、揉む方の手(B)の圧を逃がさない位置に置きます。

 そしてBが揉むのに合わせて、Aで同じ圧を掛けます。

 いわゆる「夫婦手」であり「陰主陽従」の一例です(陰がAで、陽がBです)。

 

 実際の運用には、

 「重力」

 「ベッドから患者に与えられる摩擦力」

 「揉まれる部位からの反発力」(←圧を掛けたい深さにもよって変化する)

 「揉む/揉まれる人間そのものの体重移動による『力の方向』の動的変化」

 なども勘定に入れる必要があるため、単純に2方向からの力の合成にはなりません。

 ですので、

 『出した力は全て逃さない』、かつ、

 『患者さんの体内の、圧を掛けたい箇所に力を集中させる』という目的意識を持ち、

 その手段として「各方向からの力を操る」のが、

 あん摩マッサージ指圧を行う際に「疲れにくくなる」手法の一例だと、私は考えます。


以上