積聚治療について

当院では主に「積聚治療」という鍼灸治療法を用います。

 

積聚治療は気の概念を根底とする東洋思想に基づくシンプルな鍼灸治療です。

公式な説明は積聚治療という鍼灸治療法を1人でも多くの方に知ってもらい、鍼灸を通じて社会に貢献することを目的する団体である「積聚会」のホームページをご覧ください。

 

以下は当院で認識・実践している積聚治療について記します。

東洋的発想では万物を”気”という概念でひとくくりに扱い(※1)ます。

また、ヒトが生き続ける力を”精気”という概念で取り扱います。

 

 ※1 例えばスマホもパソコンもヒトも気という概念で括ってひとまとめに考えます。それら一元のモノを現実に即すため便宜上陰陽に分けて認識を深めます。ここでいう陰陽を具体的にいうと硬軟、寒冷、濃淡などです。

 

そして積聚治療ではヒトが病気になる原因を”精気の不足”というただ一つの原因に収束させ、精気の不足を補うことで病気を治療できると考え実践しています。

 

積聚治療は基本治療と補助治療の2つで構成されます。

 

基本治療では腹部と手首、背部、肩部に接触鍼を症状に応じた特定の順序で行うことで精気の不足を補います。

 

補助治療では症状に応じた個別の手技で精気の不足を補います。

 

基本治療のイメージを治水事業で例えると

「水路の流れが悪くなっている。その原因を調査するとともに、水路に櫂(かい)を差し込み動かして、水の流れを強め、流れが悪くなっている原因を(可能であれば)そのまま流してしまう」イメージです。

 

補助治療のイメージを同じく治水事業で例えると

「水路の流れが悪くなっている原因の直接排除(浚渫など)」を補助するイメージです。

 

水路の流れが悪くなっている理由のだいたいの想定を行うのが問診だったり触診です(東洋医学的には四診(望診・問診・聞診・切診)と言います)。

 

「水路に櫂を差し込み動かすこと」に対応する技法がお腹や手首、背中、肩への接触鍼による刺激です。

 

「水路の流れが悪くなっている原因の直接排除(浚渫など)の補助」に対応する技法が深い鍼を打つことであったり熱い灸であったりします。

 

水路の流れが悪くなる原因はさまざまですが本人の気力体力が満ちている健康な状態、つまり精気が十分な状態であれば、自力で治水できているという前提を置いています。

ですのでその前提が適応できない状態(※2)は、私は積聚治療の適応範囲外だと認識しています。

 

 ※2 例えば洪水などで水路が崩壊している状態、大日照りで水路に水がほとんどながれていない状態、地震で地形が変化し水路も変化した状態などです。ヒトでいえば感染症、深刻な栄養失調、自己回復が追い付かない出血を伴う外傷などです。