足の指と足首を、意識的に動かして歩くと疲れにくくなる

こんにちは。平穏堂院長の田上俊和です。

本日の「疲れにくくなる暮らし方」は

「足の指と足首を、意識的に動かして歩くと疲れにくくなる」です。

大前提:人は、動くときに重心の上下動が少ないと疲れにくく、多いと疲れやすい。

    これは、重心の上下動が、位置エネルギーの増減に対応するためである。

小前提1:人が歩くとき、バランスを調節しているのは、直接接地している足の指であり、

     足の傾きを調節する足首である。

小前提2:立位のとき、足首が動くと、股関節は、立位を保持する方向に連動する。

      ・足首の屈曲に対し、股関節は伸展する

      ・足首の伸展に対し、股関節は屈曲する。

      ・膝関節も追随し伸展/屈曲する。

小前提3:人が歩くとき、人の重心は、上下動しながら前方に向かい、その結果、正弦曲線を描く。

 

小前提2と3から、

人の重心は、正弦曲線を描き、その振幅を調節する大きな要素は足首であり、

そしてそれに追随する股関節と膝関節です。(A)

足の指と、足首を意識的に動かせると、小前提1から、接地状態の調節ができ、

小前提2から、股関節との連動も同時にできます。(B)

上記、AとBより、意識的に足の指と足首を動かせると、

「重心が上下動する幅の大きさ」を極力抑えることができる、

となり、それに大前提を加えると、疲れにくくなる、となります。

 

以上から、「足の指と足首を、意識的に動かして歩くと疲れにくくなる」となります。


次回(8/17)は、「目的を明確にしてから物事を行うと疲れにくくなる」です。

 

○足の指と足首を意識して動かせるようになる運動のご紹介

 

  足の指の運動

     NHKの「サキドリ」で紹介されていた「ひろのば体操」が、

     私も実践してみて、とても良かったのでご紹介します。

     (http://www.nhk.or.jp/sakidori/backnumber/130922.htmlより転載)

     (1)足の指先を手の指の間に入れる

     (2)手の指で足の指をつかむ

     (3)足の指を甲の方へ伸ばす

     (4)その後足の裏側へ伸ばす

      ※これを交互に5秒間ずつ、5分ほど行う

      ※痛みを感じたときはムリをせず、少しずつ伸ばしてください

      ※体操の効果には個人差があります

 

  足首の運動

     1) 立った状態で、何かにつかまり、つま先を棒か低い台に載せて、

       ふくらはぎを伸ばす運動(むこうずねに力が入ります)

     2) 同じく立った状態で、何かにつかまり、今度は足首を伸ばし、

       つま先立ちをする運動

     の上記2つを組み合わせて行うのがお勧めです。

     それぞれの足で逆に曲げ伸ばしするのも自在に動かす訓練として有効です。

     また、上記の「ひろのば体操」で、足首も一緒に動かすのもお勧めです。


  他には、タオルギャザーと呼ばれる、足の指を曲げ伸ばししてタオルを引き寄せる運動や、

  日本伝統の跪坐(つま先立ちでの正座のように座る)という座り方で鍛える方法もあります。

  ただし、タオルギャザーと跪坐は、何も考えずに行うと、ともに外反母趾を悪化させる恐れが

  高いので、ご注意ください。

  それはなぜかと申しますと、タオルギャザーと跪坐は、指の曲げ伸ばしの筋肉を鍛えるものです。

  外反母趾が進行していると、曲げ伸ばしの筋肉が強まれば、外反母趾の曲り具合も

  さらに強まってしまうのです。


○足の指と足首を動かす筋肉についてご紹介

 

  足首を動かす筋肉は、主に、ふくらはぎとむこうずねに存在します。

  足首を曲げる際には、主に、むこうずねの「前脛骨筋」が使われ、

  足首を伸ばす際には、主に、ふくらはぎの「腓腹筋」と「ヒラメ筋」が使われます。

  三者とも、わかりやすく触ることができるので、試してみてはいかがでしょうか。

 

  足の指を曲げ伸ばしする際には、ふくらはぎとむこうずねの

  「長趾屈筋/伸筋」「長母趾屈筋/伸筋」「短母趾屈筋/伸筋」などや、

  足裏の「虫様筋」「底側骨間筋」、足の甲の「背側骨間筋」などが使われます。

  他にもいろいろありますので興味がでたら調べてみると知的好奇心が満たされると思います。

 

○「座位時の猫背」解消手段としての「足首の意識的屈曲」解説

 

  足の裏を地面に付けて、椅子に座っているとき、あなたが猫背であり、

  それを解消したいと願うのであれば、足首を意識的に屈曲させると、

  猫背を解消できるかもしれません。

  

  <詳細>

 

   1) 座位時の重心位置

 

      人が座っているときの重心は、両足の底面と

      坐骨(正確には坐骨結節同士を結んだ線の中間点)を頂点とし、

      両足足底をつなげた線と、両太ももの裏側を2つの線とした

      三角形の「支持基底面」の中にあります。

 

 

   2) 重心に対し「落ちていく」上半身を支えている仕組み

 

      その重心に向かって「落ちていく」上半身の体重を支えるために、

      足首、膝および股関節は、伸展方向に力が入っています。

 

 

   3) 上半身を前のめりにしてみる

 

      ここで、PCの画面に顔を近づけるような状況、

      つまり、座位で、上半身を、前のめりにする状況を仮定します。

      本来、股関節を屈曲させることで上半身は、下半身に対し、

      相対的に「前」に送り出されます。

      ですが、2)で説明した通り、座位では、通常、股関節が伸展する方向に力が

      入っているため、股関節は、上半身を「前」に送り出す目的に使用できません。

 

 

   4) 代償動作による猫背の発現

 

      股関節が動かせないことによる、代償動作として、脊椎が屈曲します。

      脊椎が屈曲し、頭と首と肩が前に突き出されるため、見た目上、猫背になります。

      このとき、重心に対し落ち込んでいく上半身の体重を支えるのに、

      足首、膝及び股関節の伸展だけでなく、

      ・背中をまっすぐにのばす筋肉(脊柱起立筋、固有背筋など)

      ・首を後ろに引っ張る筋肉(板状筋など)

      ・肩甲骨を後ろに引っ張る筋肉(肩甲挙筋、菱形筋など)

      も使われるようになります。その分、猫背でないときよりも疲れます。

 

 

   5) 足首屈曲による膝と股関節の屈曲連動からの猫背解消

 

      この仕組みで猫背になっている場合、足首を意識的に屈曲すると、

      膝関節、股関節が連動して屈曲します。

      すると上半身を前に送るのに、股関節の屈曲が使用できますから

      脊椎の屈曲が不要になります。

      その結果、猫背が解消されます。

 

   興味があればお試しください。

 

以上