腹圧の入れ方を覚えると疲れにくくなる

こんにちは。平穏堂院長の田上俊和です。

本日の「疲れにくくなる暮らし方」は

「腹圧の入れ方を覚えると疲れにくくなる」です。

人は立っているとき、重力に対し最小の力で立つと疲れにくくなります。

そしてその最小の力で立つ場合、背骨は4つの湾曲を持ち、ばねのようにたわんでいます(※1)。

 

  ※1 弓が4つ互い違いに並び、それがつながっている状態をイメージしていただくと近いです。

     頚と腰は前に向いた弓、胸と仙骨は後に向いた弓です。

 

逆にそれ以外の状態では、不要に力が必要となるため疲れます(※2)。

 

  ※2 代表的な例がストレートネックや、猫背です。

     猫背の場合、猫背=首から腰までの骨が仙骨との接合部を起点とし、

     前方に垂れ下がった柳の枝のようになっています。

     そのため、背筋が、上半身を後方に引っ張ろうと常に働き続けています。

     「魚が掛かってしなった釣竿を持った釣り人が踏ん張っているところ」を

     イメージしていただき、そのしなっている釣竿が猫背の人の上半身、釣り人が

     背筋と考えていただくと、どれだけ負担が掛かっているかわかりやすいかと思います。

 

そして、その疲れにくくなる、背骨が4つの湾曲を持った状態を保つためには、

腹圧がかかった状態になることが必要です(※3)。

 

  ※3 腹圧がかかると、腰を構成する5つの骨で構成される弓が前方にたわみます。

     また、腹圧をかけるために横隔膜が緊張すると、内臓が斜め前方に押し出されることから

     上半身下部の重心が斜め前下方に移動するため、それに応じて上半身上部の重心が

     自然と後方に移動します。 

 

従って「腹圧の入れ方を覚えると疲れにくくなる」となります。

 

次回(10/27)は、「包丁を砥ぐと疲れにくくなる」です。


○腹圧の入れ方

 

  腹圧を入れるイコール横隔膜の緊張+骨盤底筋群の緊張を意識して行うことです。

  最初のうちは、息を吸い込むときに肋骨を広げながら一番下の肋骨と背骨に付着している

  横隔膜が、たわんでいる状態から、内臓を押し下げるように緊張しながらピンと張った状態に

  移行していくのを意識します。

  それと並行して、肛門を締める運動を行って骨盤底筋群に力を入れるやり方を習得していきます。

  最終的には横隔膜と骨盤底筋群を同時に制御することで、効率よく腹圧をかけることが

  できるようになります。


○腹直筋を緊張させない利点

 

  腹圧を入れる上で、もう一つ重要なのは、「腹直筋を緊張させない」ことです。

  腹直筋は、いわゆる腹筋運動で鍛えられる、腹部前面の筋肉です。

  腹直筋を意識して緊張させると、上半身は前傾姿勢になりますから猫背になります。

  また「防御しなければ」と考えた場合、肉でしか守られていない「腹部内臓」を

  外敵から遠ざけるために、無意識のうちに腹直筋が緊張し、上半身を猫背にします。

  (胸部内臓は胸骨や肋骨といった「骨」で囲われているため比較的安全)


  そういった「腹直筋が緊張した状態」が続くと

   ・前傾姿勢のため背筋が疲弊し、硬く結ぼれる

   ・腹直筋も緊張し続けるため、硬く結ぼれる

   ・前面後面両方の筋肉が硬くなるため、内臓が体内で動きづらくなる

   ・内臓が動きづらくなると血行が悪くなって栄養が内臓に行き渡りにくくなる

   ・内臓の働きが悪くなると体調も悪くなる

  と状況が悪化し続けます。

  従って(意識的にも無意識的にも)「腹直筋を緊張させない」と、疲れにくくなります。

 

以上